介護職員が腰痛予防のために見直すべき5つのこと

介護職員が腰痛予防のために見直すべき5つのこと

介護の仕事はチームで行うことが多いため、一人でも休んでしまうと他のメンバーに大きな負担がかかってしまいます。そういった意味では個人プレーの仕事よりも体調管理に気をつけなければなりません。

病気や風邪はもちろんのこと、中でも特に注意するべきなのが腰痛です。なぜなら、介護の仕事は力仕事が多いため、腰に負担がかかりやすく腰痛になりやすいのです。あなたの周りにぎっくり腰を経験された方はいませんか?

今回は腰痛にならないための予防法についてまとめていきましょう。

介護職員の腰痛の悩み

「〇〇さん、ぎっくり腰だって・・・」
『え!?△△さんも、整体に通ってるらしいよ』

このような会話は私たちにとって日常的です。腰痛は介護職員の共通の敵であることに間違いありませんが、いったいどれくらいの仲間が腰痛に悩んでいるでしょうか? それを知るために初めに統計データを見ていこうと思います。

次の表は介護労働安定センターの『介護労働実態調査結果』からの抜粋です。

労働条件等についての悩み、不安、不満などがありますか? という質問に対し全体で30.0パーセントの介護職員が「腰痛や体力に不安がある」と回答しています。

 サービスの形態 腰痛や体力に不安がある
全体 30.0%
訪問系 24.9%
施設系(入所型) 41.0%
施設系(訪問型) 27.0%

最もパーセンテージが高いのは入所型の施設で41%でした。それだけ体力を使うということなのでしょう。逆に、最もパーセンテージが低いのは訪問系のサービスです。それでも、24.9%と4人にひとりが不安を抱えているのですね。

やはり、腰痛は重点的に予防策を考えていく必要があります。

準備運動から始める腰痛予防

あなたはスポーツをする前に必ず準備運動を行うと思います。体を使う機会の多い介護職員にとっても準備運動は効果的です。始業後、準備運動を行わず、いきなり移乗や入浴介助を行うなど腰の筋肉に急激な負担をかけることは止めましょう。体幹の筋肉をほぐしてから、仕事に取り掛かってみてください。

準備運動のコツはゆっくりと行うこと

前後に体を曲げる、左右に体をゆっくり倒すなど、腰の周囲の筋肉をゆっくりとほぐすことを意識しましょう。大きい筋肉を動かし続けていると体温が上がってくるのが分かると思います。汗をかくまで準備運動をする必要はありませんが、軽く火照るくらいがベストです。

ラジオ体操も効果的

入所型の施設によっては、毎朝ラジオ体操がスケジュールされているところもあります。利用者さん向けのものですので、取り組んでいない職員も多いのですが、ラジオ体操はよくできているって知っていましたか?

腰痛ではありませんが、四十肩に悩み鍼灸院に通っていた先輩職員がラジオ体操に真剣に取り組んだ結果、改善したという実例があります。

介助の方法を見直してみよう

移乗介助を見直そう

介護の仕事で腰に最も負担がかかるのは、要介護者をベッドから車いすへ移したり、逆に車いすからベッドへ移すといった「移乗」と呼ばれるものです。忙しい介護の現場では、腰を落とさず前かがみの状態で移乗をやってしまいがち。しかし、介護者が状態で移乗を行うことは腰を痛める原因なのです。

移乗のときは、できるだけ腰をまっすぐ伸ばし、足を開いて膝を曲げることを意識します。そうすると、重さが太ももやふくらはぎといった筋肉に分散するため腰への負担が少なくなります。あなたが想像しているよりもずっと楽に移乗することができますので試してみてくださいね。

排泄介助を見直そう

ベッド上での排泄介助も、腰に負担をかけやすいといわれています。原因は移乗と似ており、中途半端な姿勢で長時間介助を行ってしまいがちだからです。ベッドを低い位置に下げて要介護者の転落リスクを防ぐことはもちろん大切ですが、必要に応じてベッドの高さを調整することも大切です。

腰に疲労を溜めないために

腰部保護ベルト(腰痛ベルト)を着用しよう

腰部保護ベルト(腰痛ベルト)の存在を知っていますか? 名前のとおり、腰を守るためのものですが、腰痛を予防するものと腰痛を緩和する2種類のベルトがあります。

介護職員の必須アイテムといってもよいほどのものであり、職場によっては支給されるところもありますね。なかには腰痛ベルトを使用せずに腰痛になった場合は保険の適用外としている職場もあるとか。

見た目はイマイチですし、夏場は少々暑いですが、腰部保護ベルトに救われたな…と思った経験が筆者にはあります。もし、まだ腰部保護ベルトを使用していないのであれば積極的に検討してみてください。

なお、医療機関へ行くことで、自分の腰に合った腰痛ベルトを作ることもできます。腰痛に悩んでいる方は作ってみてもいいかもしれませんね。

入浴で疲労を翌日に持ち越さない

腰痛を予防するためには、腰にかぎらず体に疲労を溜めないことが大切です。入浴の際、湯船につからずシャワーだけで済ませてしまう人が多いとは思いますが、経験上それでは疲労をとることはできません。

就寝の3時間以上前に、湯船に5分以上つかるのがおすすめですよ。就寝の直前では脳が活性化し、熟睡できないといわれています。

おわりに

介護職員にとって腰痛は職業病ともいわれています。しかし、自分で工夫をすることで、腰痛を未然に防ぐこともある程度はできるものです。腰痛を予防するのために見直すべき5つのことを改めてまとめてみましょう。

  • 始業前に準備運動をしっかり行うこと
  • 移乗介助の方法を見直すこと
  • 排泄介助の方法を見直すこと
  • 腰部保護ベルト(腰痛ベルト)を着用すること
  • 入浴で疲労を翌日に持ち越さないこと

いかがでしょうか? どの項目の今日からすぐに実践できることばかりです。ぜひ取り組んでみてくださいね。

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