介護士なるためには資格は不要です。しかし、介護士のなかには、介護福祉士や介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)などの専門資格を持つ方もたくさんいます。また、働きながら上位資格の取得を目指す方も多い業界です。このような事実から介護士は専門職であると考えてよいでしょう。
介護の業界に限らず、どこの業界でもそうですが、専門職の多い職場は人の入れ替わりが頻繁です。今のあなたは新人を受け入れる立場かもしれませんが、近い将来、新人として新しい介護施設へ入職する可能性も十分にあるわけです。
前置きが少し長くなりましたが、新人の介護士はどのようなことを期待されているのか気になりませんか?
ここでは私が介護施設で働いていた経験を活かし、先輩の介護士が新人の介護士に求めていることをまとめました。これから介護施設で働こうと考えている方や、転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
新人の介護士に期待していること
即戦力として人手不足の解消に貢献して欲しい
介護業界は慢性的に人材が不足している業界です。実際、私の知る限りの範囲では、どこの施設も人手不足が深刻な問題になっています。猫の手でも借りたいという言葉がありますが、介護業界はまさに猫の手でも借りたい状態です。
そのため、先輩の介護士は自分が抱えている仕事を早く誰かに分担して欲しいと考えています。つまり、新人の介護士とはいえども1日でも早く即戦力になることを求められているのです。
面接時に夜勤に入って欲しいと依頼された経験もあり
ここで少しだけ私の経験をお話ししましょう。
私は面接時に「入職後はすぐに夜勤を一人でこなして欲しい」と言われたことがあります。夜勤のローテーションに一人加わるとシフトに余裕がでるからという理由でした。
前職で夜勤を経験していたのでOKしたのですが、短期間で身に付けるべき業務知識や技術が多く考えていたよりもずっと大変だったのを覚えています。
メモを取りながら仕事をする習慣を身に付けよう!
少しでも介護の経験があれば即戦力にもなり得ますが、初心者ではなかなかそうもいかないでしょう。なぜなら頭で言葉やイメージはできても、思いどおりの介護を行うことは難しいからです。自分では完璧にできたと思っていても、介護手順に抜けがあったり、もっと良い介護方法があったことに後で気付かされるものなのです。
そこで、私が実践していた一つの方法があります。その方法とは、業務時間内にメモを取りながら仕事をし、1日の終わりにメモを整理することです。メモの整理をするときは次の3つの観点から整理してみてください。
- 覚えなければならない業務上の知識
- 業務で感じた疑問とその答え
- 身に付けたいと思った知識や技術
この方法は短期間で即戦力になるとっておきの方法なのですが、あくまでメモは手段であるということを忘れないでください。介護チームの一員として周りと同じような速さと質で仕事ができるようになることが目的です。
先輩が気付かないことに気付いて欲しい
同じ介護施設で長い間働いていると、日々の業務もルーチン化してきます。自分でも何となく気が付いており、たまには見直しが必要だと考えはするのですが、なかなか客観的に診断することは難しいものです。
その結果、自分が今やっていることは本当に正しいのか、他にもっと良い方法はないのか、という疑問を抱えている介護士も少なくありません。そのため、新人介護士には、新鮮な視点で職場をみて率直な意見を伝えて欲しい、と期待する声もあります。
新人介護士の意見で改善が進んだ例
ある施設で実際にあった例をご紹介しましょう。
その施設では昼食の時間は12時から13時と厳密に決められていました。働いている私たち職員はそれが当たり前だと思っていましたし、疑問にも思っていませんでした。
しかし、ある日のミーティングで新人介護士が「食事の時間は、厳密に決まっていないほうが自然だと思います。食べたいときは食べるし、食べたくないときは食べないものです。利用者も同じ気持ちではないでしょうか」という意見を出しました。
この意見は、今まで考えもしなかったことであり、非常に新鮮に感じた記憶があります。結局、この意見は採用され、利用者のお腹の空き具合をみて食事の時間をずらすという介護方針が加わりました。
職場に活力を与えてくれる
学校を卒業したばかりの10代・20代の新人職員には、明るさや新鮮さを期待する場合があります。介護の仕事は人を相手にする仕事ですので、やはり職場の雰囲気は明るい方が利用者も職員も気持ちがよいものです。
もちろん無駄に明るくする必要はありません。挨拶をしっかりと行うだけでも周りの印象は変わります。また利用者や職員と会話をするときは笑顔を絶やさないように心掛けてみてください。
まとめ
ここまで、新人介護士に先輩が期待していることをお伝えしてきました。
もう一度おさらいすると次のとおりです。
- チームに適応し即戦力となって欲しい
- 新鮮な視点で職場をみて欲しい
- 職場に活気を与えて欲しい
いまから介護業界で経験を積まれる方も、これから介護業界へ転職される方もぜひ参考にしてみてくださいね。