あなたの勤務先がどのようなサービスであったとしても、介護の職場に入って最初に指示されることは利用者さんとの会話です。早い段階でしっかりとしたコミュニケーション技術を身に付けておくと、様々な場面で役に立つことでしょう。
しかし、高齢者とどのようにコミュニケーションをとればよいのかわからないといった悩みを抱える新人介護士の方も少なくありません。
ここでは、高齢者とコミュニケーションをとるにあたって気を付けておくべきポイントをまとめました。新人介護士の方や、これから介護業界に進まれる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
高齢者は声を聞き取れない・聞き取りにくい
新人の介護士の方と話をしていると、「利用者さんに話しかけても反応がありません。」という言葉が返ってくることがあります。詳しく話を聞いてみると、
- 会話の内容が悪かったのではないか
- 新人だから警戒されているのではないか
といった悩みを抱えるようです。
もちろん上記も原因の一部ではあるのですが、この場合、そもそも高齢者が介護士の声を聞き取れていないというケースが考えられます。同様に、介護士が何を話しているのかわからないため返事ができないケースもありますね。
普段通り喋っていることが伝わらないというのは気付きにくいものです。しかし、後々高齢者に聞いてみると非常に単純な理由だったということが実際はよくありました。
高齢者とコミュニケーションを取るためのポイント
ゆっくり話す
高齢者にあなたの声を聞きとってもらうためには、ゆっくりと話すことが大切です。若者が会話するスピードで話をしても聞き取ってもらえません。なぜなら、普段から使う単語や言い回しが異なるからです。
しかし、単語や言い回しを変えなくともゆっくり話すだけでかなりのことが伝わるようになるでしょう。英会話をイメージしてみてください。わからない単語があっても、ゆっくりであれば前後の文脈から意味を補完して理解できますよね?
声のトーンを下げる
あなたが女性であれば声のトーンを少し下げて話すと良いでしょう。高齢者は高い音が聞き取りにくいので、普段よりも少し低いトーンで話すと伝わりやすくなります。
また、余裕があれば高齢者が発する声の高さに注目してみましょう。高齢者が発する声の高さは、自分が一番聞き取りやすい音域です。高齢者の声の高さ合わせて会話ができるようになると同僚からも一目置かれますよ。
作業中に話しかけ会話の糸口と見つける
高齢者と何を話せばよいのかわからない。話題が見つからない。そのようなときは、何か動作をしている高齢者に話しかけると会話がスムーズに成り立ちます。
たとえば、本を読んでいる人に対して「どんな内容ですか」、手作業をしている人に対して「何を作っているのですか」といったような会話の糸口を見つけるのです。
(あなた)「何をしているのですか?」
(高齢者)『〇〇をしている。』
(あなた)「〇〇やったことないんですよね!」
(高齢者)『一緒にしてみるかい?』
といったような会話の流れに持っていけると、会話も共同作業もできるため信頼関係がいっそう深まります。
目線の高さは必ず合せて話す
他の業界でも耳にするコミュニケーション技術ですが、介護業界では特に重要です。たとえば、車いすの高齢者に話しかけるとき、介護士が立った状態で話しかけてしまいますと、見下ろす状態になってしまうと思いませんか?
端から見ていてもイメージが良くありませんし、何よりも見下ろして話しかけられるのは良い気分ではありません。車いすの場合は、介護士がかがんで目線を合わせましょう。
会話をするときの位置は正面ではなく、相手の右か左斜め前に座ると相手が警戒心を解いてくれるといわれています。正面に座ると対峙しているようで身構えてしまうのです。
信頼関係を築くことを焦らない
あなたが警戒心を解く時間よりも、高齢者が警戒心を解く時間のほうが長くかかります。そのため、初期の段階でコミュニケーションがうまくいかないといったことはいたって普通です。焦らず徐々に信頼関係を築いていきましょう。
介護士が焦ると、高齢者に雰囲気が伝わってしまい嫌がられることもあります。そうなってしまっては本末転倒ですよね?
まとめ
新人介護士が高齢者と適切にコミュニケーションを取る方法をお伝えしてきました。
いかがでしたでしょうか?
もう一度まとめると次のとおりです。
- ゆっくり話す
- 声のトーンを下げる
- 作業中に話しかけ会話の糸口と見つける
- 目線の高さは必ず合せて話す
- 信頼関係を築くことを焦らない
特別な技術を必要とするものはなく、今からでもすぐに取り組める方法ばかりです。高齢者と信頼関係が築けると介助がぐっと行いやすくなります。
ぜひ、取り組んでみてくださいね。