ブラック企業という有名な言葉があります。テレビや雑誌でしばしば取り上げられるため聞いたことがあるという方も多いことでしょう。狭義では過重労働・違法労働で人材を使いつぶす企業を指します。(参考:コトバンク)
ブラック企業は介護業界にも存在しています。ここではその実例と回避する方法をまとめました。自分が働いているところがブラックな介護施設・事業所ではないか?と思っている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
サービス残業が常習化
これはブラック企業の一番の特徴です。労働者側が知らない、あるいは知っていても主張することができないことを利用し、無茶な条件下で働かせているところがあります。介護施設・事業所で最も多いのはサービス残業です。
残業代が支払われない
介護の仕事は、急を要する事態が頻繁に起こります。それ自体は避けられるものではありません。しかし、対応するために時間外に業務が発生したのであれば残業とみなされるべきです。ところが、残業とみなされない介護施設・事業所があるのです。
なかには、
- 毎日1時間以上の残業をしている
- 定時に帰れば白い目で見られる
といった環境で働いていた人もいました。もちろん、残業代は支払われません。
時間外に会議が行われる
介護施設・事業所では職員会議、サービス担当者会議、委員会などの会議が頻繁に行われます。就業時間内に会議が開催されれば良いのですが、諸事情により時間外に行われる場合もあります。
時間外に会議が行われること自体は問題はありません。問題は時間外の会議が残業とみなされるかどうかです。
会議が「ボランティア」として位置づけられていたり、休日に会議に参加しているにも関わらず手当もないといったケースがありました。
タイムカードのコピーで対策しよう
サービス残業が常習化している職場の実態を労働者の立場から変えることはむずかしいでしょう。しかし、あなた自身を守る方法はいくつかあります。
最も簡単な方法は、タイムカードのコピーをしっかり取っておくことです。コピーをとれない環境であればメモ帳などに記録を残しておくようにしましょう。残業をしたという証拠が何より大切です。
なぜなら、未払い賃金は2年間まで遡って請求することができますし、万一、労災に遭ってしまった場合にも役に立ちます。
具体的な相談先
相談先は労働組合がよいでしょう。退職を視野に入れているのであれば、労働基準監督署に相談する方法もあります。
経費が使えない
介護施設・事業所で働いていると、備品やレクリエーション用品、外出代といったお金が必要な様々な場面があります。これらのお金は仕事で必要なものですので、経費として処理されることが本来の姿です。しかし、経費としておちないという相談を受けたことがありますので2つご紹介しましょう。
外出時の施設利用代や食費は自己負担
一つ目の相談は、外出で動物園や水族館へ行った際にかかる職員の施設利用代や食費は、自腹で負担しないといけないという内容でした。職員からしてみれば仕事の一環ですが、経営者からしてみれば仕事ではないという考え方です。
備品が切れても補充されない
二つ目の相談は、ゴム手袋やティッシュなどの備品が切れてもなかなか補充されず自分で購入しているという内容です。このケースの場合は補充されないということはなかったのですが、現場からみれば困った話ですよね。
レシートの保存で対策しよう
経費と思われる出費をした場合はレシート(領収書)を保存しておきましょう。相談先はサービス残業と同じです。
給与の基準が曖昧
一定の規模の介護施設・事業所であれば明確な給与の基準があるのは当たり前です。給与は基本給と諸手当から構成され、それぞれが一定の基準によって判断されるべきです。なお、給与の仕組みについては次の記事も参考になるでしょう。
ところが、新興の介護施設・事業所では給与の基準が曖昧な場合があります。たとえば、採用された時期によって基本給に差があったり、昇給する仕組みがないことがあります。
このような介護施設・事業所に入職してしまった場合は、改善を期待するよりも転職を視野にいれた方が良いでしょう。
まとめ
ブラックな介護施設・事業所の実例と回避する方法をまとめてきました。
もう一度まとめると次のとおりです。
- サービス残業が常習化
- 経費が使えない
- 給与の基準が曖昧
列挙するだけでも、思わず「うーん」と唸りたくなる内容ですね。
恐ろしいのは、入職したころにこれらの違和感を覚えても時間の経過によって慣れてしまうことです。「慣れる」とはいっても心身は消耗していくもの。健全な生活を送るためにも、この機会にぜひあなたの職場を見直してみてください。