介護職は女性の割合が多い職業です。厚生労働省の資料(事業所の種類別・年齢階層別・男女別介護職員の状況)によると、介護職における女性の割合は77.8%となっています。
この割合から考えると、他の業界と比べて同僚の妊娠に遭遇する可能性は高いと言えるでしょう。もちろん、これを読んでいる貴女(あなた)が適齢期であれば、あなた自身が妊娠する可能性もありますよね?
妊娠は喜ばしいことですが、出産後の復帰を考えると職場との関係は円満にしておきたいもの。ここでは、妊娠する可能性がある介護職のあなたのために、妊娠が発覚してから職場へ伝えるまでの心構えをご紹介します。
目次
妊娠が発覚したとき
妊娠を経験した同僚から情報収集
まず、妊娠していることが分かったときの立ち居振る舞いについてです。もし同じ職場に妊娠・出産を経験し、産休や育休を取得した同僚がいるならば、一足先に相談してみましょう。信頼のおける先輩や上司であれば好ましいですね。
相談する際は、
- いつどんなタイミングで職場に報告をしたのか
- その後、産休までの流れはどうだったのか
を確認すると良いでしょう。同僚からの情報ですので職場の慣例がわかりますよ。
職場の就業規則を確認
同僚への相談と同じタイミングで、就業規則で産休がどれくらい取得できるのか確認しておきましょう。労働基準法では産前休暇の6週間と産後休暇の8週間が定められています。これらの休暇に加えて、特別な休暇が付与される介護事業所もありますよ。
事前に就業規則を確認しておくと無用なトラブルを避けることもできます。
職場へ妊娠を報告するとき
先述のとおり、妊娠が発覚したら、まずは信頼する同僚に相談することがおすすめです。しかし、介護事業所への報告もできるだけ早く行いましょう。なぜなら、介護事業所は人員の配置を考える必要がありますし、何よりあなた自身が後悔しないためです。
できるだけ早く報告すること
他の職種と比べると介護職は力仕事が多い職業です。またその勤務の時間帯も早朝から夜勤までと不規則です。そのため、妊娠を報告せず、そのまま働き続けることはおすすめできません。特に妊娠中期以降は、力仕事を控えるように医師に指導されるでしょう。*注1
筆者の経験上によるものです。専門的な意見は担当医に聞いてみてください。
介護の現場は忙しいことが多いため、
- 人出が足りない時期だから言いにくい
- 上司に良い顔をされないのではないか
と心配な人もいるでしょう。ですが、産まれてくる赤ちゃんのためにもしっかりと報告することが大切です。「早く伝えてくれて良かった」と言われる可能性もあります。
良い顔をされない時もあると知っておくこと
妊娠は喜ばしいことですが、残念ながら職場から良い顔をされないときもあります。介護業界の人手が不足を考えると仕方がないことかもしれません。
それでも、
- 通常の勤務通り働いてもらわないと困る。
- あなただけ違う仕事はできない。
- 妊娠したら退職するのが通例である。
というような内容であれば抗議してもよいでしょう。これはマタニティハラスメント(マタハラ)と呼ばれるものです。
マタニティハラスメント(Maternity Harassment)とは、職場において妊娠や出産者に対して行われる嫌がらせを指す言葉
Wikipedia(マタニティハラスメント)
しかし、抗議をしても改善されない可能性もあることを覚えておいてください。その時は退職も視野にいれてよいでしょう。介護職は求人の多い職業ですので、多少のブランクが空いてもすぐに復帰できますよ。産後にパートで入職される方もたくさんいます。
我慢して働くとそれだけでストレスになり、お腹の子に良くありません。
妊娠に配慮してくれた職場の実例
好ましくない職場の例を先に出してしまいましたが、介護職は女性の多い職業ですので、妊娠を報告すればきちんとした対応を取ってくれる介護事業所のほうが実際は多いです。
具体的には、
- 部署を変えてくれる
- 夜勤を外してくれる
- 仕事内容を変えてくれる
といった配慮してくれます。筆者の例を挙げると、特別養護老人ホームからデイサービスへ仕事内容が変更されたり、や3階から1階への部署移動がありました。
まずは早めに報告をすることを忘れないようにしましょう。
まとめ
介護職の女性が妊娠発覚から職場へ伝えるまでのポイントをご紹介してきました。
妊娠したとわかったら、身近な同僚に相談後、介護事業所へできるだけ早く報告することで円満な関係を続けていくことが可能です。言いにくい……といって遅くなると、あなたにも職場にもメリットはありません。
余談ですが、妊娠後いつまで働けるのかは個人差が大きいものです。一般的には7か月前後までは大丈夫だといわれています。一方で、元気な人であれば妊娠9か月ぐらいまで通常と同じように働く人もいます。
しかし、できるだけ力仕事は行わないように注意すべきです。力むとお腹に負担がかかってしまいますからね。移乗介助、入浴介助などは避けたほうが無難でしょう。食事介助やレクリエーション、食後の後片づけなどは身体への負担も少なくおすすめですよ。
仕事も大切ですが、出産も大切にしたい人生のイベントです。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。